ポンコツ編集者の十五夜日記

マグレで出版社に編集者として入職してしまったポンコツの趣味と仕事と趣味の日記

新聞記者

Twitterを中心にネットで話題になっている新聞記者を観てきました。
劇場も限られており,小さなシアターでの上映ながらかなりの満員で注目度の高さが伺えました。
 
ネットでは「主演の女優を日本人にしようとしたが芸能プロダクションの関係で断られ,快諾してくれたので韓国の女優さんだった」みたいな記事が出回っているが,日本人女優が脇を固めるなかでこれは事実ではないんじゃないかなあ……と漠然と感じたりしました。
 
新聞記者はシム・ウンギョンと松坂桃李のW主演で,権力に立ち向かうメディアの姿を描いた社会派サスペンス。
原作は東京新聞記者望月衣塑子さんの同名ノンフィクションで,ここからイメージを湧かせて製作された映画のようでした。
 
ストーリーも面白く,松坂桃李の上司役を演じた田中哲司の名演に私まで震え上がりました。
また,シム・ウンギョンの日本語能力をかなり不安視して(だって彼女は日本製作コンテンツでの経験が無い)いました。
たしかに「今なんて??」という場面も多かったのですが,かなり流暢に話している場面もあり,おばさんは感動しました(努力系に弱い,体育会系ではない)。
でも,彼女が韓国人役ならまだ理解はできますがアメリカからの帰国子女の日本人で両親ともに日本人である,という設定に彼女がはまっていたのか,と言われると疑問です。かなり流暢な英語を話してらしたので,キャスティングの理由はそこかな,とも感じました。
 
ただ,テーマがかなり日本で実際にあったことと近い点(モリカケ問題や伊藤詩織さんの事件など),実際に放映されたテレビ番組が劇中に流れる点が”かなり残念だな”という印象です。
『新聞記者』が原作であるならばノンフィクション映画まで舵を切ればよかったのではないかな。日本は事件後かなり経ってから現実とも仮定ともつかない”ノンフィクション系”映画を乱発しますが(戦争映画とかね),せっかくお金と俳優がいるなら,ちゃんとノンフィクションを作ったほうが良い。洋画のノンフィクションを崇拝しているわけではありませんが,映画はエンタメとしての消費だけでなく,教育としての消費をすることもあります。特に歴史や民俗学の部分では。
ですので,今回はかなり中途半端な印象を受けました。

 
ただ,ラストシーンはかなり良かったです。あのために観ることを勧めてもいいくらい。
あと松坂桃李は出演作品選びが上手ですよね。いい作品ばっかり出る。マネージャーさんが優秀なんだろうか。謎は深まる。